この頃のSさんのレポートを読み返してみると、大きな変化は無いものの少しずつ、「あれっ?」と思うことが増えていきます。よく出てくるのは、Sさんは通院にもよく付き添っていただいていたのですが、前日の日中に予定を説明し、保険証とかお薬手帳とか必要なものをそろえておいたのに、夜になると「あれが無い、これが無い。明日は何時にきてくれるのか?」と言う電話がかかってくるのだそうです。毎日ずーっと何かを探し続けている母がそばにいれば、父のストレスは相当なものでしょう。何度言っても同じことが繰り返されるのです。責めてはいけないような気がします。母がしっかりしていれば、父も友人と会ったり、出かけたりしたかったのでしょうが、母を一人にはしておけないという気持ちがあったのでしょう。
- 家族だけでの介護には無理もあります。他人に頼ることも必要です
ケアマネージャーのKさんは母の状態を見て、介護保険の枠いっぱいまでヘルパーさんに来てもらうことを提案してくれました。私たちには簡単に思いつかない提案でした。ヘルパーさんの手配、ヘルパーさんやSさんを集めて対応ミーティングと、やはり効率的なやり方をご存じです。自宅で家族の介護をなさっている方は、家族の世話は家族の手で、という気持ちもあると思いますが、他人に助けてもらうことは絶対に必要です。検討されてはいかがでしょうか?
- いつまでも頑張ろうとする母
驚いたことに、この頃まだ母は料理教室をやろうとしていました。しかしSさんとの会話の中でも生徒さんの名前がわからない、作る料理を何にしたらいいかわからない、材料をそろえることが難しい、という状況は伝わってきます。きっと、生徒さんたちが気をつかって自分たちで準備してくれていたのだと思います。